損害賠償の解決方法と請求権の時効について


示談

(1) 示談とは
示談とは、被害者と加害者とがお互いに歩み寄り、話し合いで賠償額や賠償金の支払方法を定め、円満に解決を図るもので、簡便で費用もかからない方法である。
保険会社は、現在の社会通念上公正妥当な示談が結ばれるよう、相談に応じている。
(2) 示談の効力
示談は、一種の契約とされ、一度成立すると破ることは許されない。ただし、示談成立後に予期しない後遺症が発生したなど大きな事情変更が生じた場合や、示談そのものが公序良俗に反するようなものである場合は、無効となることがある。
示談は、お互いの口頭の意思表示だけでも有効であるが、後日の紛争をさけるために、示談書を取り交わしておく必要がある。
(3) 示談書作成上の留意事項
事故の事実関係(当事者、事故月日、場所、事故状況など)をはっきり記載する。
相手方が正当な資格者であるかどうかを確認する。特に相手が代理人の場合は、委任を受けているかどうか、委任の範囲内であるかどうか確認し、相手が未成年の場合には、法定代理人(親権者または後見人)の同意を得て示談する。また、相手が幼児の場合には、法定代理人と直接示談することが必要である。
示談の条件をはっきりさせ、示談額(賠償額)が明確につかめるように記載する。

即決和解

当事者間での話し合いがまとまった段階で、簡易裁判所に和解を申し立て、公判の場で示談条項を和解調書に作成する方法である。
即決和解は裁判所による判決と同様の効力を持つ。

調停

調停とは、公的機関(原則として、相手方の居住する地区の簡易裁判所に申し立てる。)を利用して、当事者がお互いに譲歩して解決する民事上の手続きで、判決と同様な効果を持つ。
調停は、学識経験者等で構成されている調停委員会が、当事者の良識ある話し合いを斡旋する形式で勧められるので、正式の訴訟に比べ、費用も安く、迅速に結論が出る点に長所がある。

訴訟

当事者間で話し合いがつかない場合は、訴訟(裁判)で争うことになる。
(1) 訴訟上の和解
訴訟となっても、必ずしも判決まで行くとは限らず、裁判官の勧告により和解で解決する場合が多い。和解が成立すると和解調書が作成され、判決と同様な効果を持つ。
(2) 判決
最後まで当事者間で妥協が見られない場合は、判決に従うことになる。なお、判決に不服の場合は、上訴することができる。

請求権の時効
一定期間内に請求権を行使しないと、時効により消滅する。
(1) 損害賠償請求権
不法行為による民法上の損害賠償請求権は、被害者またはその法定代理人が損害および加害者を知った日から3年行使しないと消滅する(事故の日から20年経過したときも消滅する。)(民法第724条)
時効の起算点
時効
損害および加害者を知ったとき
3年
事故が発生したとき(損害および加害者を知らないまま)
20年
(2) 保険金請求権
自賠責保険、対人・対物賠償保険の保険金請求権は、時効の起算点から2年で消滅する。
時効の起算点
時効
自賠責保険 加害者請求 損害賠償金を支払ったとき
分割払いの場合は、ここに支払ったとき(商法第663条)
2年
被害者請求 損害および加害者を知ったとき(通常は、事故発生の時)(自賠法第19条)
2年
対人・対物賠償保険 被害者が負担する法律上の損害賠償責任の額が示談・判決などにより確定したとき(約款一般条項第24条)
2年
(3) 時効の中断
一定の事実状態の継続を中断することにより、それまでの時効期間は効力を失い、改めて時効が進行する。(民法147条)
損害賠償請求権については加害者に、保険金請求権については保険会社に、時効中断の手続きをとれば、その時点までの時効期間は効力を失い、改めて時効は進行する。